最近よく聞くD2Cとはどんなビジネスなのか
”D2C”という言葉を聞いたことがあるだろうか。
次なるスタートアップの市場として急成長している分野であるが、C2Cの次なる市場として大いなる注目を浴びている。
そもそも、D2Cを説明する前に、この表記について詳しくない人のために簡単に説明しておく。
B2BやB2C、C2Cとい言葉は近年よく使われる言葉で、”2”というのは英語表記の"to"に値する。
B2B=business to business
企業→企業
B2C=business to consumer
企業→顧客
C2C=consumer to consumer
顧客→顧客
の意味である。
例えば、卸やメーカーなどの会社に勤めている人は
「弊社のビジネスモデルはB2Bだ。」というような使い方をする。
同様にC2Cでいうと「メルカリ」はそのC2Cのプラットフォームを提供しているというイメージだ。
さて、ここで本題だが、近年ではビジネスモデルをこのように表記するのがごく一般的なのだが、時代の変化というものか新しいビジネスモデルが続々と誕生している。
例えば、
F2C=factory to consumer
工場→顧客
D2C=direct to consumer
直接→顧客
のようなビジネスモデルだ。
F2Cは注文された商品を工場からお客様へ直接配送するビジネスモデルのこと。これにより、商品にかかる送料や人件費のコストを大幅にカットすることができ、商品を低価格で提供することができる。
そして、最近新しく注目されている、D2Cというビジネスモデル。
消費者に対して直接商品を販売する。つまり、自社で企画、製造した商品を自社の販売チャネル(多くはECサイト)で販売するモデルである。
従来の在り方であれば、自社で企画、製造した製品でもスーパーやコンビニなどの小売に並べるケースがほとんどである。iPhoneなどはApple Storeで直接販売もしているが、おおよその販売経路は3大キャリア(ドコモ、au、Softbank)に頼っている。直接自社の商品を他社を介さずに商品を売るケースはほとんどないと言っていい。小売店に至るまでも卸売業者が関わるケースが従来の商習慣からすればほとんどである。(そして時にはその卸売業者は複数になる。)
しかし、最近ではゼロから始まったスタートアップがいきなり自社製品(webサービスなどではなく実際に形のあるもの)を開発し、販売するケースが目立っている。
D2Cの特徴は圧倒的なスピード
Direct to Consumerの名の通り、消費者に直接商品を届ける仕組みである。つまり、間に他社が入らないため1つのスパン(企画→製造→流通→販売)が自社のみでできて圧倒的に速い。
例えば、あなたが大企業に勤めていて今から考えた商品をコンビニの棚に並べようとしたら、短くても半年間はかかるだろう。これがD2Cなら1ヶ月でできることすらあるわけである。こうしたスピードの速い流通の仕組みがスタートアップとして機能することを可能にしている。
D2Cはアパレルや美容系に多い
では、D2Cのスタートアップはどのような企業が多いのだろうか。顔ぶれを見ると、、Bonobos(アパレル)、Warby Parker(メガネ)、Dollar Shave Club(髭剃り)といった具合にアパレルおよび美容関係のものが多いようである。最近私が注目しているのが、BULK HOMME(メンズスキンケア)。代表の野口氏がtwitterでもD2Cについて公言しており、より一層D2Cの注目度が上がっている。
ひさびさに寄稿しました。最近D2Cについて聞かれる内容をまとめています。 / トレンド領域!D2Cスタートアップを知ろう https://t.co/8HZY5RISHt @nogutakuより
— 野口卓也 (@nogutaku) 2018年10月16日
アパレル周辺の分野というのは原価率(この場合では原材料費など含む製造そのものにかかる原価)が低く比較的取り組みやすい分野である。反対に自動車などは小さい規模のスタートアップには手に負えないし、薬品など認可に時間のかかるものも難しい、食品なども原価率が高く大規模な工場での製造が必要になるだろう。
そして、D2Cスタートアップの増えた要因には3つの要素が挙げられる。それが、『SNS』『製造』『流行の変化』である。
モノづくり業界にもスタートアップが続々参入か
今まではスタートアップと言えばシリコンバレーでひたすらパソコンと向き合ってコードを書き続けるオタクであったが、D2Cスタートアップは昔からあるモノ作りの形をしている。当然ながら、世の中の全てのビジネスがパソコンで行われるわけではなく、特にITといった情報を扱うものの対極にあるのが実物のあるものを作るメーカーである。
そうした分野にもスタートアップが進出してくることでまた業界の在り方も変わってくるかもしれない。今までのようにゆっくり製品を作っていれば急成長してくるスタートアップには勝てないだろう。新たな風が吹き込んでくる予兆を感じる。